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映画『スーパーサイズ・ミー』 
            …「アサ芸エンタメ!」04年?月号掲載



『スーパーサイズ・ミー』

 30日間朝昼晩マクドナルド食いっぱなし。しかも小、中、大のその上、スーパーサイズを勧められたら必ずイエス。そして残さず食う。ゲロ吐いても食う。監督本人がモルモットになっての人体実験ドキュメント。21日目には早くも生命の危機にひんする。ファーストフード界のアメリカ最大手、世界に冠たる大企業をまさに体当たりで糾弾。そして当のマクドナルド社は本作の全米公開前に、スーパーサイズをメニューから廃止した。
 そんな映画を作ったのは、大企業撲滅だの自然食万歳だのとヒステリックに訴える粘着質の運動家でもなければ、江頭2:50のような自爆芸の人でもない。監督モーガン・スパーロックは企業向けのイメージCMを手がけた経験もある、バランスのとれた社会人であり好青年。実験なかば、「彼の、固くなんなくなっちゃった」と重要な証言で登場する交際相手が、アメリカにこんなに清楚な女子が本当にいるのか、と言いたくなるほどのかわいこちゃんなのも肯ける。
 だから、人体実験という乱暴な手段を取りながら、映画に乱暴さや強引さはない。パンクで過激な仕上がりを間違って期待しようものなら、たぶんがっかりする。すんごくさわやかな映画なのだ。
 「自分たちが肥満になったのはハンバーガーが原因」と二人のティーンエイジャーが裁判を起こした。訴えられたマクドナルド社は「うちは関係ないよ」。これをニュースで知った監督は「本当かな。証明してみよう」と思いつく。そして
実験開始、撮影スタート。3人の医師など専門家に太鼓判を押された超健康体に、マクドナルドのメニューをぶちこむ、ぶっこむ。だるい、でもハンバーガーをぶっこむと気分爽快。すぐまた、ぶっこみたくなる。こりゃ明らかに中毒だ。
 各地のマクドナルドをはしごしつつ、監督はファーストフードのみならず、同じように砂糖と油まみれの清涼飲料水、ジャンクな食品が、大企業によってアメリカ人、いかに大量に供給されているかを検証していく。学校が子供たちを、大企業メイドの砂糖と油の塊で餌付けする場所になっていることも。
 病的な肥満にむしばまれながら、何を食わされているか教えてもらえないから、知らないままでいる。少なくないアメリカ人の、その家畜化が恐ろしい。
 ただ、少々さわやかすぎる。モルモットが別にいて、それを監督が観察する映画ならどうなったか。そんな、誠意なき別バージョンを想像する私は、悪食すぎるだろうか。
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by hiromi_machiyama | 2006-08-16 20:41 | 雑誌原稿アーカイヴ
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