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映画『恋の門』 
            …「アサ芸エンタメ!」04年?月号掲載



『恋の門』

 『タクシードライバー』の主人公は人生初のデートで、映画館に行く。自分の知っている唯一の娯楽。でもそこはポルノ映画館。女は当然怒りだし、主人公は驚き傷つく。無知で孤独で滑稽な存在が、残酷にあぶりだされるシーンだ。  
 彼は残念なことに知らなかったが、恋愛映画というものがある。 だが、恋愛映画がすべてデート向きとも限らない。恋愛の舞台上だけならいいが、楽屋を掘り下げたような映画は、お互いの楽屋での悶々を隠して今まさにデートという晴れ舞台に立っている 二人にとって、気まずい。楽屋での孤独な悶々こそが恋愛の本当の現場だろうと、そんな部分はないふりをしないと、足が重くてホテルにたどりつけません。
 松尾スズキが初めて映画を撮る。しかも恋愛映画。そう聞いて想像したのは、デートに向かない恋愛 映画だった。
 主宰する劇団「大人計画」を始め 松尾が脚本・演出を手がけた舞台で、生きたり死ねなかったりの悶々 が ぶちまけられるのを見てきた。すごく笑えてスピーディで、芯はどろっと黒い。今度もそうだと想像したが、ちと違った。
 若々しい恋愛青春コメディ。石で漫画を描く、漫画芸術家の男子と、コスプレおたくで同人誌界の人気漫画家でもある女子の恋物語だ。若々しい、と書くには理由がある。今現在の若さに加えて、全編に何やら70年代に寺島まゆみなどのアイドルを輩出したロマンポルノの気配、あの懐かしい若さが漂う。
 登場人物は傷を負い、へたっぴな優しさで他人も自分も苦しませる。もしかすると舞台では気づかなかっただけで、松尾作品はいつもそこに根差してたのかもしれないが。
 男子の主人公は松田龍平。ロマンポルノ時代の遺伝子を濃厚に持つせいか他の仕事では浮いていた彼が、今回はハマった。脇にまわった小島聖もいい。そして塚本晋也。バーのカウンターの場面にしか出てこないのに、その男の普段の生活が見える。すべての映画は、カウンターの短い場面に人間ドラマを匂わせたければ、迷わずそこに塚本を置くべきだ。
 男女の恋愛は薄味だが、漫画愛は濃厚。登場人物がいっせいに漫画を描くくだりには、アクションシーンさながらに燃えました。
 女子の主人公は酒井若菜が演じた。ロマンポルノなら亜湖(20代にはわからない話でごめん)が担当する不思議ちゃんキャラ。それなのに脱がない。酒井の意外に太い足(少し見れる) 、大きな乳輪(想像)の説得力は絶対にこの映画に必要なはずなのに。私は心で怒鳴った。脱げよっ。
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by hiromi_machiyama | 2006-08-16 21:01 | 雑誌原稿アーカイヴ
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放送作家・町山広美の日記
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