「ライフ・アクアティック」は万年男子の映画なのだけど、男子チームの異物、女の描き方が私には面白かった。不器用な男をうまいこと食い物にするケイト・ブランシェット。こういう女のニブさをしっかり見せる、底意地の悪さが好き。こいつが「タッチ」の南ならば、「野球狂の詩」の水原なのが(無理のある例えですな)もうひとりの女、おやじ二人の元妻であり妻でもある、アンジェリカ・ヒューストン。大富豪の娘にして、もちろんもう中年。男子チームのバカさダメさをよく知っていて、でもそれでいて母親的な存在に落ち着くわけじゃない。自分も一緒に男子と冒険したいのにそれができない女子のさびしさが漂ってる。皆と一緒に半ズボンで走り回れない、っていうガッカリを心に放置したまんまの中年女のキャラは、この映画で初めて観た気がする。そこにすげー共感してしまいました。
ちなみに、この監督、ウェス・アンダーソンの前作「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」は、私には「天才バカボン」に思えた。そして、「バカボン」になっている部分はとてつもなく楽しいが、「バカボン」になっていない部分は好きになれなかった。