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ヘンリー・ダーガーと花輪和一も
3月発売の「InRed」でも
「死後に発見された長大な絵物語。
 作者は社会不適応に苦しむ貧しい清掃夫だった‥。
 今や世界で賞賛される芸術家の、
 孤独な後姿をたどるドキュメント。
 彼が妄想の世界で、主人公の少女たちに着せた服や羽は、
 色鮮やかで美しくてドリーミィで、クラクラします」
と紹介させてもらった
映画『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』

何度か控えめに折り込まれる、
ダーガーの絵物語「非現実の王国で」のアニメバージョンも
慎重に作られていて、うっとり見ました。

絵の実物の一部は展覧会で二回見ていて、
ここに感想なんぞも書いてますが、
見ているときに、頭の中がざわざわしてたいへんでした。
絵物語の主人公であるところの少女戦士たち、
ヴィヴィアン・ガールズの声が多重音声で響いてしまって。
アニメでは、
この感じがそのまま目の前に現われたようで、
「そうそうそうなのよ」と、思わず前のめりに。

絵物語の解説としては、
作者のダーガーさんは自分自身を、
「ヴィヴィアン・ガールズの援軍のスパイ」
「敵軍の将軍」
「従軍記者」
などとして登場させている、というのが一般的なようです。
でも、それだけじゃないんじゃないかなあ、と。

絵を見たときはぼんやりとしか感じなかったんですが、
今回の映画を見てよりはっきり、
「ヴィヴィアン・ガールズ=自分」でもあったのでは、
と思い至りました。
幼女たちの股間に男性器が描いてあるのも、
「女性の身体を知らなかった」ことももちろんあるんでしょうが、
幼女=自分だからでもあるんじゃないかなあ、と。

ダーガーさんは、
漫画や広告の少女キャラクターの輪郭をなぞったりしながら
自分の絵を作ったわけですが、
股間にちょこんとイチモツを書あしらって、
「これ、オレオレ」って。

そんなことを思って、
さらに頭に浮かんだのが、花輪和一です。

銃刀法違反で服役した刑務所での日常を克明に漫画化した
『刑務所の中』に続いて、
服役までの顛末を書いた「はず」の『刑務所の前』
しかし、
問題の実銃コルトガバメントの入手から修復にいたるまでの
超くわしくて、妙にハイな、マニア愛あふれる一部始終と、
『刑務所の中』を補足する獄中記録と、
中世が舞台の、親の因果と幸せ探しに苦悩する幼女の物語、
この3パートが錯綜する、
一大絵巻に仕上がっております。

そして、何といってもすごいのは、
実銃の入手から修復までを描くに際して、
自分を三つ編みで丸顔の幼女「花子」に
おきかえていること。
ピュアなマニア愛に満ち満ちているときは、
愛らしい幼女そのままに、
証拠隠しなど、法を犯してることを自覚し悪い心で動いているときは、
幼女の顔にどろぼうヒゲをあしらい、
より自分の顔に近づけて描きます。
すごいです、何度読み返してもわくわくする傑作です。

花子は、
丸顔で、おめめぱっちりで、三つ編みで、
手足がむちむちして、丸襟ブラウスに吊りスカートで、
古くさい教育用絵本のキャラクターみたいなんですが、
そこもヴィヴイァンガールズ的。

この漫画に限らず、
『不成仏霊童女』(2巻はともかく、1巻はこれまた傑作。読むと嗚咽)
でも、童女に自分をなぞらえてます。

作品中で、自分を愛らしい女の子に重ねる。
前回のウォホールやガス・ヴァン・サントの例は、
「なんだかなあ」ですが、
ダーガーさんと花輪さんの場合は、
猛烈に好ましく思ってしまうのでした。
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by hiromi_machiyama | 2008-04-21 01:20 | 日記
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