信濃毎日新聞「怪しいテレビ欄」2018/2/21
「普段スクープされる側の芸能人が個人の見解を話しに集まるワイドショー番組です」とただし書きが提示される、フジテレビの「ワイド ナショー」。

国際政治学者の肩書で出演した三浦瑠麗の発言が、取りざたされています。

東野幸治と山崎タ貴アナが進行し、松本人志がコメンテーターとして番組の中心に構えるこの番組。

くだんの放送 は、松本が「瑠麗さんって酒飲んだらめっちゃエロくなるって」と言い出し、嬉(うれ) しそうに笑って「自分でもよくわからない」と三浦に転がされた松本が「エロっ!」。

山崎アナが「喜びすぎですよ」とあきれる展開で始まりました。

その後、冒頭のただし書きがあって、本編へ。

平昌オリンピックについてまずVTRで、関本式前日に軍事パレードを行った北朝鮮が選手団を派遣、日韓首脳会談も行われ、オリンピックが外交の舞台になっているという問題提起がありました。

そのVTRを受けて東野に「どうですか」とふられた三浦は、軍事力を見せつけつつ、女性応援団などで融和を演出する 北朝鮮の梶棒(こんぼう)外交」がまんまと成功しているという解説を披露。

すると隣の長嶋一茂が、韓国の人から実際に話を聞いたところでは、脅しに屈してもいないし融和ムードにのせられてもいない、「まったく疑わしい」と三浦解説を覆しました。

笑顔をキープしていた三浦に再び東野が水を向けると、「実際に戦争が始まったら」と話を展開させ、「テロリストが仮に金正恩さんが殺されても、スリーパーセルと一言われて、もう指導者が死んだっていうのがわかったら、もう一切外部との連絡を断って都市で動き始める、スリーパーセルっていうのが活動すると言われているんですよ」「テロリスト分子がいるわけですよ。それがソウルでも、東京でも、もちろん大阪でも。今 けっこう大阪やばいって言われていて」「潜んでます」。

この一連の発言に、在日コリアンへの憎悪を煽(あお)りかねないと批判が起きています。

これを受けてのブログや取材での三浦の発言も、批判を一層強めることに。

なぜフジテレビはこの発言を放送したのでしょうか。

「言われていて」などと不用意に広められた、根拠の不明瞭なうわさ話が、民族憎悪の惨劇を扇動した例は、歴史上繰り返されています。

さらに日本と在日コリアンの歴史と現状についても鑑みれば、この発言が放送されるべきではないのに、なぜそうならなかったのか。

バラエティーだし、ただし書きがあるし、オープニングのやりとりが示すように三浦もタレント的な存在だから問題ないと考えたのか。

そもそも歴史をご存じないのか。

そしてなにより、最近の在日コリアンへの冷たい世情をまったく感じていないのか。

答えが知りたい。


          


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by hiromi_machiyama | 2018-04-29 20:28 | 雑誌原稿アーカイヴ | Trackback
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